前回に引き続き、長崎県波佐見町の山口さんを迎えての対談記事です。前編で話がでていた「招待状」の企画とは?そして、その企画が受賞!?後編の話も盛り上がっています。ではどうぞ!
山口 隆太朗:波佐見町役場 税務財政課 【写真右】
大野 亜理沙:スチームシップ 波佐見町担当ディレクター (旧姓:永田)【写真左】
町に足を運んでもらうための招待状
大野:前回話に出ていた「招待状」について、すこし説明をしますね。これは「ふるさとBOOK Like」に招待状を挟んで、寄附者さんに届けるという企画です。その招待状を持って波佐見町に来ていただいたら、加盟店でちょっとした「おもてなし」を受けられる。波佐見焼の工場見学ができたり、絶景の棚田を見ながら地元産のお茶を飲めたり。
山口:しかもスタンプラリーみたいに、加盟店を5か所まわったら波佐見焼のカップをもらえるという。
大野:はい。でもこれホンネを言うと、最初は不安もあったんです。招待状を届けたところで「寄附者さんが本当に来ていただけるのかな?」と。波佐見町には駅もありませんし、交通の便が良いとは言えない地域ですので…
山口:でも結果、200名以上の寄附者さんが波佐見町に足を運んでくださいました。
大野:だから本当にうれしかったです!この200名というのはスタンプラリーで5か所まわっていただいた方の人数なので、実際はもっと多くの寄附者さんが訪れてくれているはず。
山口:しかも遠くは北海道から来ていただいて!すごいなと思いました。招待状が届いて、それを持って波佐見町に来た寄附者さんたちが、この町で「おもてなし」を受けたときの感動って、ふつうの旅行では味わえないと思うんです。
大野:寄附者さんと事業者さんが、直接ふれあって話をする。それは、お互いにとって本当に貴重な経験になりますよね。

大野:ちなみに私がうれしかった話もしていいですか? 笑
山口:ぜひぜひ 笑
大野:私たちスチームシップは波佐見町で開かれるイベント「波佐見陶器まつり」に、ふるさと納税ブースを出店させてもらっているんですけど。昨年そこに招待状を手にした寄附者さんが来て「この招待状を送ったのはあなたたち?こんなステキなものをもらったら来るしかないじゃない!」と声をかけてくださったんです。その言葉に、もう感動しちゃって。
山口:そのように「招待状」や「おもてなし」を喜んでいただいた寄附者さんたちは「波佐見町のファン」になってくれたはず。きっと帰ってから、この町で体験したことを友人とか、まわりの人に話してもらえたのではないでしょうか。
ふるさとチョイスAWARD 大賞!
大野:私がうれしいのは、この企画を「町の実績」だと評価していただいていることです。寄附者さんを町に200名呼べたからといって、寄附額アップにつながるかどうかは正直わからない。だから「もっと寄附額を上げることに特化した企画をしてほしい」と言われてもおかしくない立場なんです、私たちスチームシップは。でも波佐見町はそうじゃない。
山口:これまでも寄附拡充に向けて、アクセルを思いっきり踏むこともできたとは思います。でもそうではなく、ゆっくりと周りに目を向けながら寄附者さんや事業者の声に耳を傾けてきました。そして波佐見町の魅力度向上、掘り起こしなどに注力してきました。目先の寄附に捉われず、町のことを中長期的に考えてくれる。その点はスチームシップにお願いして良かったと思うポイントのひとつです。
大野:ありがとうございます。私たちも山口さんや波佐見町のみなさんと「どこに向かっていくべきか」の目線合わせができているから、互いにブレることがないし、私たちも安心して全力で色んな提案ができている。そう感じています。
山口:その提案のひとつが「招待状」でしたが、この企画はいろいろな意味で実を結びましたね。なんといっても「ふるさとチョイスAWARD2024」で大賞をいただいたじゃないですか!
大野:いや~、ほんとよかったですね!
山口:僕はふだんクールキャラで通ってるんですけど、受賞の瞬間はめちゃめちゃガッツポーズしましたからね 笑
大野:山口さん、大声で叫んでましたよ 笑

山口:アワード当日は渋谷の会場に足を運んで、大野さんのプレゼンを見ていたんですけど。いや本当にうれしかった。大野さんとずっと一緒にやってきて、毎年欠かさずこのアワードには応募していましたし、なんだか想いが込み上げてきて…。大賞を獲って「もっとがんばろう」と思いましたし「これからだな」という気持ちにもなりました。
町のみなさんの「よかった」が仕事のやりがい
大野:この結果を受けて、私は「ほっとした」という気持ちが大きくて。これまで4年間ほどやってきて、正直、私の中ですごく苦悩していた時期もあったんです。でもこのアワードで自分たちが「いい」と思ってることを、各分野で活躍されている審査員のみなさんに「いい」と評価していただいた。これがすごく大きかった。私たちがやってきたことが「間違っていなかった」と確認できたことが。
山口:たしかに大きかったですね。
大野:波佐見町は寄附額の数字の部分だけでなく、このような取り組みで評価されるべき自治体だと、ずっと私は思っていましたので。だから正直ほっとしました。
山口:いや本当によかった。
大野:今「よかった」と言っていただいたんですけど。この仕事をしていて、私の一番のやりがいは波佐見町役場の方、山口さんや町長に「よかった」と声をかけていただけることなんですよ。「自分の仕事が町のためになっている」と実感できますので。
山口:僕は大野さんの「波佐見町を行きつけの町にしたい」という目標に共感していて。招待状などで町のファンをつくることは、未来の波佐見町のための施策だと思っています。そして、これまでのような取り組みを続けていけば、数年後、もっと先かもしれませんが、最終的には波佐見町に人が集まる、そして注目される町になるという自信があります。

大野:今回、山口さんと話をしてみて、あらためて「山口さんだからできたこと」がたくさんあるなと感じました。私はスチームシップの仕事も波佐見町のことも本当に大好きで、まいにち楽しいんですけど。このように「楽しい!」って感じられるのは、山口さんをはじめ役場のみなさんと信頼関係を築いて取り組めているからだと再認識しました。
山口:僕自身も大野さんと話し合ってうまく修正しながら、柔軟にやれているところに心地良さを感じてます。やりたいことがあったら、お互いに協力し合ってカタチにしていく。今まで2人で「やろう!」と思った取り組みは、すべて実現しましたよね。
大野:たしかに。できなかったことはないかも。
山口:僕は大野さんをはじめ、スチームシップのみなさんといっしょに仕事ができてよかったなと思っています。これだけ相性が良くて、これだけ波佐見町のことを好きでいてくれる人たちと、ふるさと納税に関わる仕事ができて本当によかった。
大野:こちらこそ、山口さんが「相棒」でよかったです 笑 今日は対談企画にご協力いただき、ありがとうございました!
山口:ありがとうございました。楽しかったです!
【対談:2025年6月】